ジュンク堂×商店街 商店街店主に聞く #今だからこそすすめたい本

本を読む人が減った、書店が減少している、と言われて久しい近年。
ですが、商店街の店主さんたちに話を聞くと「本が好き」と話す人がとても多い!
ということで、商店街の店主さんが勧める本を取材してみました。

今回は瓦町FLAG 3Fの「ジュンク堂書店 高松店」高崎店長にレビューをいただき、本のおすすめポイントを聞いています。


南新町商店街 メガネのタナカヤ

南新町商店街 11号線から南100mほどにあるメガネ屋さんです。
明るい店内にはメガネがずらり。子供用メガネも充実しています。
本を紹介してくれたのは社長の川畑さん。

おすすめしてくれた本『大泉エッセイ』

  

 

ジュンク堂書店 高崎店長レビュー
俳優、大泉洋が駆け出しの頃から発表していたエッセイをまとめた一冊です。面白いのが、現在の視点からエッセイ一つ一つにコメントを書き加えているところでしょうか。読書しているのにオーディオコメンタリー映像を見ているような、不思議な気分になってきます。飾らない人柄とユーモア、そして何より読みやすい文章でどんどん「大泉洋」という人間の虜にされてしまう、そんな魅力にあふれた本です。

 

 

本の紹介
俳優 大泉洋が24歳〜40歳まで、いくつかの雑誌に渡って書き続けたエッセイをまとめた本です。表紙装画を漫画家あだち充が担当するというなんとも豪華なこのエッセイ。本人があだち充のファンということで実現したようですが、本書内でも愛を熱く語っている文章があります。

 

その他、川畑さんのおすすめ本はこちらから👇https://machi.takexp.com/msmachi/blog2021101286/

 


南新町商店街 洋服のフルヤマ

南新町商店街の菊池寛通りから北50mほどにある、紳士服を扱う「洋服のフルヤマ」
主にスーツやジャケット、ネクタイなどの紳士服を扱い、オーダーメイドも受けています。ここで働く斉藤さんは店主の古山さんの娘で、レディース服の販売を経験した後にフルヤマ洋服店で紳士服の販売に携わるようになりました。

おすすめしてくれた本 『ぼくたちのカメムシずかん』

 

ジュンク堂書店 高崎店長レビュー
アクティブ・ラーニングという言葉がだんだん日本にも浸透し、現在の学習指導要領の根底にも活かされるようになってきました。子供たちが主体者として学ぶことで、より深い学びを体験として得られ、さらに一方的に与える学習ではなく、学びから得られた対話によって、子供たちだけではなく、学校やコミュニティ全体が活性化していく。そういった学びのモデルケースとして、この絵本はとても示唆的です。

 

 

本の紹介
岩手県葛巻町にある小学校で実際にあったお話。厄介者として嫌われていた「カメムシ」を校長先生の呼びかけで全校生徒が調べてみることに。カメムシを学校全体で深く研究していくとともに、ただの「くさい虫」から少しずつ認識が変わっていく様子が描かれています。

 

この本の他、斉藤さんがレディース服から紳士服の販売をするようになった際に参考にした本も紹介してくれています👇https://machi.takexp.com/msmachi/blog2021101311/

 


南新町商店街 永森時計店

菊池寛通りの信号角にある時計店。70年以上の歴史があるこの時計店で今回おすすめの本を紹介してくれた永森さんは生まれ育ちました。掛け時計や腕時計の他に、メガネ・宝飾品も扱ってます。

おすすめしてくれた本 『聖おにいさん』

 

ジュンク堂書店 高崎店長レビュー
教養、という言葉を聞くとハイブロウ(知的・学識のある)で自分とは無縁だと考える方も多いと思いますが、個人的にはこのコミックスで提示されるような「宗教ギャグ」を楽しめるセンスや精神のことを言うのだと思います。それに加えて、あらゆる宗教性を換骨奪胎して日本的なものに溶けこませてしまうこの「日本という国と文化そのもの」もまた宗教的なネタとして、この作品の大きな主題なのです。そんな驚くほどに無節操に展開される「宗教と日本とのせめぎ合い」を(コミックスというメディアゆえの茶番として)笑える我々は、意外とすごいのかもしれないのです。
※換骨奪胎: 先人の詩文などの発想や表現法を取り入れて、創意を加えて、新たに独自の作品を作ること。

 

 

本の紹介
ブッダとイエス・キリストが地上の生活を満喫するため、東京・立川にお忍びでアパートを借りて生活する様子が描かれた漫画。
お忍びのはずなのに、2人の側近である天使や弟子たちが入れ替わり立ち替わりアパートにやってきたり、うっかり奇跡を起こしたり後光を放ったり、神であるが故に起こる独特の出来事が魅力です。

 

その他、永森さんのおすすめ本はこちら👇https://machi.takexp.com/msmachi/blog2021101305/

 


常磐街商店街 糸しょう

常磐町商店街で創業80年以上の老舗呉服店。
店舗リニューアルにより、商店街の通り沿いだった入口が、南側に一本入った道沿いになりました。振袖や訪問着などの販売の他、着付け教室などのイベントも開催しています。本をお薦めしてくれたのは店主奥様の谷本さん。

オススメしてくれた本 『書くだけで人生が変わる 嫌なことノート』

 

ジュンク堂書店 高崎店長レビュー
気持ちの動きを言葉にすることには様々な効果があります。日常にふと起こった「嫌なこと」をまとめるノートを作成し、冷静に自分にとって「嫌なこと」とは何かを見つめ、ゆくゆくは俯瞰的に自分と他者を見渡せる視点を得よう、というのが本書の主旨です。大事なのは感情のままに書き殴るというようなことはしないこと。俯瞰的な視点がもたらすものは、自己の成長や人間関係の円滑化、ビジネスにおけるアイデアなど様々です。総じてちょっとした「生きやすさ」へと到る道を提示してくれる、そんな本です。

 

 

本の紹介
毎日を一生懸命生きている時ほどぶつかる「嫌なこと」
あなたが出会った嫌なことを、この本の方法を元にノートに書き続けていくことで、ネガティブな感情や嫌なことへの向き合い方を考えることができるようになっていきます。

その他、谷本さんおすすめの本はこちら👇 https://machi.takexp.com/tokiwa/blog202111897/

 


常磐町商店街 トイカツ道場

瓦町駅から常磐町商店街に入ってすぐの化粧品店「SAKURANBO」の2Fにあるトイカツ道場。ボクシング、ブラジリアン柔術など様々な格闘技やヨガなど様々なレッスンを行っています。本を紹介してくれたのは格闘技の指導やトイカツ道場の近くで整体治療も行う南原さん。

おすすめしてくれた本 『もこ もこもこ』

ジュンク堂書店 高崎店長レビュー
長男が赤ちゃんの頃、ついつい毎日絵本を買いたくなりました。流石に毎日というわけにはいきませんでしたが、この絵本はそうした時期に買って帰った一冊です。鮮やかな色彩で形を変える不定形な図形が、まだ物の形も概念もよくわかっていない乳児にはちょうど良いのではと思ったのです。添えられる谷川俊太郎の言葉も実際に読み聞かせをすると耳触りがよく、本当に素敵な絵本です。0から1歳児に与える絵本でお悩みの方にはまずお勧めします。

 

 

本の紹介
ナンセンス絵本の定番。出版は今から44年前の1977年。シンプルな言葉と絵で、単純な図形の動きだけで構成されています。
図書館や支援センターなどでも乳児から読める本として勧める定番の絵本です。大人が意味付けしながら読むのではなく、シンプルに音や色を楽しみながら子供の感じるままに読むのがおすすめ。

シンプルなのに奥深い、南原さんがお勧めする絵本や小説はこちら👇https://machi.takexp.com/tokiwa/blog202110907/

 


田町商店街 大山メガネ

田町商店街 観光通から南に50mほどのところにある「大山メガネ」
2Fには店主水野さんの娘さんが営む焼き菓子店「kijineko-ya」があります。
メガネセレクトにこだわり抜く水野さんがおすすめの本を紹介してくれました。

おすすめしてくれた本 『上流階級 富久丸百貨店外商部1~3』

 

ジュンク堂書店 高崎店長レビュー
いわゆる「お仕事もの」ですが、この小説は主人公である「百貨店店員の仕事内容」とその顧客達である「富裕層の暮らしぶり」の二つの世界が味わえる美味しい作品です。描かれる富裕層の金銭感覚には全くついていけないのに細部の描きこみがとてもリアリティーを感じさせます。逆境の中で奮闘する百貨店と、その裏側に現代日本の経済的停滞も透けて見え、読んでいてただ楽しいわけではない「苦味」も魅力です。

 

 

本の紹介
高卒後、神戸の老舗 富久丸百貨店芦屋川店のパティスリーで働いていた主人公が外商部に引き抜かれ、顧客の要望に応えていくストーリー。主人公の売上ノルマ達成のために東奔西走する様子とともに、百貨店外商で買い物をする正真正銘セレブたちのの生活や生き様が垣間見れる小説。

その他、本大好き水野さんのその他のおすすめ本はこちらから👇https://machi.takexp.com/tamachi/blog202110957/

 


 

編集後記

新型コロナの影響で、ここ2年ほどの本の売り上げは上昇したものの、紙の書籍とデジタル書籍の割合はデジタルが大きくシェアを伸ばしているというデータもあります。

今回、店主に取材して何度か聞いたのは
「本は紙のほうがいい」
「本は書店で買うほうが好き」

田町の「大山メガネ」水野さんは
「眼鏡屋としては断然紙の本をお勧めします。なんと言っても目に優しい」
と語ってくれました。

南新町の「メガネのタナカヤ」川畑社長は
「忙しくて本を読む時間はなかなか取れないけど、書店に行くのは好き。ただ歩いて本のタイトルを眺めるだけでも世の中の流行がわかる」
と話します。

トキワ街の「糸しょう」谷本さんは
「仕事柄、縁談をお世話することがあるのですが、初デートにどこがいいか聞かれた時はジュンク堂を勧めることがあります。本がたくさんあって会話のきっかけになりますし、お相手の趣味や価値観を知ることができるんですよ」
と教えてくれました。

デジタル書籍は大変便利です。いつでも読めるし、片手で読める。オーディオブックを利用すれば耳だけで読書体験ができる。

紙の書籍、しかもわざわざ書店に行って購入するという行為は一見今の時代にそぐわない、時代遅れのようにも思えます。

が、書店に行くために準備し、どんな本を選ぶか・自分の読みたい本は何か、と書店内を歩き回り、買って帰って読むための時間をとる。

一冊の本のためにかける時間が長ければ長いほど、自分の知的好奇心のために動く時間も長いということ。
書店で本を探すという行為は自分を大事にする時間とも言えるのではないでしょうか。
書店は本を買うためだけの場所ではなく、自分の好きなもの探しを手伝ってくれる場所。

取材時、高崎店長にジュンク堂で働こうと思ったきっかけを尋ねたら
「ジュンク堂には他の書店にはない本があって、いつも面白い本が置いてあった」
と話してくれました。

ジュンク堂書店 高松店を歩いていると、そんな高崎店長の思いも伝わって来ます。
次の休みには商店街を通ってジュンク堂へ行ってみませんか?
新しい自分の興味に出会えるかもしれません。

 

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